「待てぇぇぇぇぇっ!」
あたしを追ってきた男の声が、夜の静寂をブチ破った。
たとえ安眠妨害で訴えられても文句は言えない音量で、だ。
ま、場所が場所だから大丈夫だろうけど………
「待てと言っとろーがーーっ!」
いい歳こいたおっさんが愛らしい美少女を追っかけまわすんぢゃないっ!
(あたしのことよ)
これも自然の摂理なのかしら………
と・も・か・く! 自分のリュックの中から食べ物が少ぅし減ったからってあ
たしを追いかけ回すのはやめて欲しいのよっ。
大体ねぇ、あんなトコにリュック置いといたら子供でも盗るわよ、フツー。
今回は心の広いあたしが犯人だったからいちお逃げてやってるけどね、あたし
じゃなきゃ問答無用で攻撃呪文の雨あられなんだかんねっ!
と、勘違いのないように言っておくけれどあたしはコソ泥や、ましてや盗賊の
たぐいではない。
ごくフツーの天才魔導士である。(てへっ)
道に転がっていたリュックの中から、食べ物をほんの少し失敬しただけだ。
(だってほら、落ちてたら拾いたくなるもん)
それにしてもほんとーに少しなのだ。
あれじゃあ、おやつにもなるまい。
それをずぅぅーーーーーーーっと追っかけてくるなんて………
ケチというか、心が狭いというか………
ともかくっ、まるで自分が盗賊みたいなカオしたおっさんにドロボー呼ばわり
されるいわれは断固ないのよっ。
「一角獣(ユニコーン)、乗るわよっ!」
あたしと並んで逃げていた召喚獣『一角獣』に声をかけると背中に飛び乗る。
なんでこのあたしがリュックから食べ物を失敬したかというと………
「れでぃぃぃぃぃぃぃっすえーんじぇんとるめーーん!
長ぁらくお待たせいたしましたぁぁぁぁぁっ!
こぉれよりぃっ三年に一度行われる『アウルス大陸横断召喚獣レース』を開
催いたしまぁぁぁっす!
ルールはお手元のパンフレットをご覧くださぁぁぁぁっい!
でぇはっ! 一時間後にレッドシグナルが点灯しまぁぁぁぁすっ!」
司会者のバカでかい声が響きわたる。
─────能書きはいいのよ─────
あたしはそんなことを考えた。
そう、あたしは三年に一度行われる『大陸横断レース』に出場するのだ。
もちろんゥ 賞品目当てゥ
このレース、アウルス大陸を北から南に下っていくもので移動は全て召喚獣で
行うレースである。(戦闘時以外は一匹しか連れて歩けない)
むろん、レースなのだから一番最初にゴールした人の勝ち、のハズなのだが、
違うのだ。このレースは。
ほとんどバトルレース。途中で出会った奴は問答無用で叩き潰してよし、ただ
し倒すのは召喚獣のみ、操者を倒してはいけない。
無事ゴールした人は決勝戦に進み、最後に残った人間が勝者なのだ。
しかも横断には有に一ヶ月以上かかり、通るところは全て森林になっている。
したがってよっぽど腕に自身のある人間しか出場しない。
ハズなんだけどなぁ………
見たトコ、ものすげー弱そうなヤツとかいるし。
と、かく言うあたしはとっても強い。
召喚獣は『石魔獣』(ガーゴイル)や『朱雀』(すざく)や『一角獣』など多
種多様。(もちろん自慢!)
あ、でも本職は黒魔法。(しいて言えば攻撃呪文)
一時間というやつは短いもので準備をしていたらあっという間に過ぎて
しまった。
「でぇは皆さぁん、スタート地点に集合してくださぁい」
またもや司会者のドでかい声が響きわたる。
─────言われなくっても行くわよ─────
んなことを考えつつスタート地点へと急ぐ。
スタートでごたごたすると困るわね………後々大変になるから……
となると『麒麟』(きりん)か『朱雀』あたりを呼び出してぶっちぎってやるか。
「レディィィィッ、ゴーーーッ!」
司会者の声が響く、やいなや
「朱雀、ゴーッ!」
四聖獣の一つ、炎の鳥『朱雀』を呼び出す。
「きしゃあああぁぁぁっ」
朱雀がその姿を現した。
紅蓮の炎を振りまき、あたしを乗せた朱雀は天高く舞い上がる。
『おおおおおおおぉぉっっ!!!!!』
周囲からどよめきが聞こえる。
─────ふ、見たか、あたしの実力─────
さぁてと、今のうちにぶっちぎってやるか!
………と、待てよ、こんな目立つところで、こんな目立つものに乗ってたらマ
ヅいかなぁ………メンドーだけど森の中行くか。
朱雀を精霊界に戻して森の中に降りる。
「麒麟、ゴーッ」
竜にも似た召喚獣『麒麟』を呼び出した。
走る速さは召喚獣の中でも一、二位を争うやつだ。
猛スピードで走っている麒麟の上にいるのって、爽快だわ……
耳の脇で風が唸っている。
外は少し暑いぐらいの陽気だったのだが、木の葉が陽の光を遮って、なんとも
爽やかな雰囲気をかもしだしている。
「をや?」
ふと気が付いて麒麟を止めた。
リュックの中をあらためて見れば、
「んにゃあぁぁぁぁぁぁっ!」
食べ物が一ヶ月分もなかった。
「うーむ、味が濃いわねぇ」
あたしは唸った。
追っかけてきたおっさんをまいてとりあえず一休み。
焚き火をおこして没収した食料の味をみたのだが……
まあ、こんなもんか………
あたしを乗せて全力疾走した一角獣は焚き火の横で眠っている。
んで、食料を失敬しなければならない理由は今の通りである。
でもこんな味なら明日からお魚さん釣ろーっと。
そっちの方がよっぽど美味しいもん。
あんまりトクしなかったなぁ………
もう少しマシなモン食ってると思ったんだけど………
さてと、今日はもう寝るか。
そう思い一角獣を戻して代わりに夜行性の召喚獣『二尾猫』(ねこまた)を呼び出す。
寝込みを襲われたらコトだしね。
「じゃ、見張りよろしくゥ」
「ぅにゃーーーお」
あたしの呼びかけに二尾猫はしっぽを立てて返事をした。
爽やかな朝。
木洩れ日が、地面を丸く照らす。
空気が木々の若緑に染まって、なんともおいしい。
二尾猫は朝になると眠ってしまったので精霊界に戻し、代わりに一角獣を呼び
出した。
この一角獣というヤツは足が速く、頭が良くって戦闘能力もあるので割と気に
入っている一匹だ。
呼び出すのが比較的簡単なためポピュラーでもある。
森の中を一角獣に乗りぱかぱかと進む。
乗った感じは(見た目も)馬そっくり。
リュックの中からアウルス大陸の地図を引っぱり出す。
「半分……行ったかしらね………」
ぽつりと呟きを漏らしたあたしの方を一角獣が見上げた。
「え、あんたじゃないわよ……ん?」
呟きを命令と勘違いした一角獣をなだめた(?)あたしは言葉を切った。
空気の中に混じるこの匂い………
「一角獣、匂いの方へ」
あたしの命令に一角獣は足を速める。
しばらく行くと、突然、一角獣が止まった。
「うっ……」
ひらりと飛び降りて目の前の茂みを覗き込んだあたしは思わず後ずさりした。
茂みの中には、一人の男が倒れていた。
いや、それはもう、人間と呼べないモノかも知れない。
体が鋭利な刃物か何かでざっくりと、八つに切られているのだ。
溢れるように流れ出す血から言って、死後そんなにたっていないだろう。
さっき空気の中に混じった匂いは、血臭─────
おそらくは、召喚獣レースの参加者。
理由はいたって簡単。
その男の脇に無残な姿になった『八首蛇』(ヒドラ)が死んでいたからだ。
つまり、召喚獣だけでなく人間まで殺すヤツがいるのだ。
そしてそいつは、少なくてもあたしの好きなタイプじゃない……
きっとそいつは決勝に残るはず。
「─────いつかは会うってことね」
呟いてあたしは一角獣を振り返った。
「少し、待っててね。すぐ終わるから」
言うとあたしは死体に火炎弾(ファイヤーボール)を飛ばした。
肉が焼ける嫌な音と、血の蒸発する耐え難い匂いが、あたしの集中力を乱して、
とても気持ち悪かった。
その後、あたしは男の灰を土に埋め、その場を立ち去った。
一角獣が草を踏む音が聞こえる。
辺りはそのぐらい静かだった。
時折、名も知らぬ鳥がかん高く鳴き、一角獣が身をすくませる。
しかし、不覚であった。
あーゆー死体を見ると食欲が失せるのだ。(当たり前だ)
グロい。スプラッタ。
う〜、気持ち悪い。う〜……
食欲が失せてもお腹は空く。
どーしろとゆーのだ……
しばらくはお肉が食べられない。
暖かい昼下がり。
眠〜くなるような時間帯なのに……
げ〜、気持ち悪い。
あぁ、ふかふかベットでゆっくり寝たい。
そのためにもさっさとゴールしなければ。
「一角獣、駆け足っ!」
しっかり掴まってあたしは叫んだ。
当然と言えば当然だが面白いように木々が流れる。
流れてくる新鮮な空気を吸っているうちに、なんとか食欲もわいてきた。
たしか、この辺に湖があるのよね。
地図で確認する。
あたしも水飲みたいし、一角獣にも飲ませなきゃあね。
「一角獣、並足」
歩調が元に戻る。
空気に混じるこの匂いは血臭、じゃなくて水の匂い。
と、
…………………
人の声がしたよーな……
…………………
「………ですから……」
間違わないでほしい。今のはあたしの声じゃない。
湖に先客アリ、か………
「悪いけど一角獣、一度戻ってくれない?」
あたしの傍にいた一角獣の姿がかき消えた。
先客が召喚獣レースの参加者ならば戦闘になるわけで、その時には召喚しなけ
ればならないのだが、一角獣なんかがいると気づかれやすいのだ。
気配を殺して手近な茂みに隠れたあたしは湖の方をそっと覗く。
あたしの眼は二つの人影をとらえていた。
「─────!?」
あたしはすごーーく驚いた。
なんでかって言うとね、ね……
その二人が(男)そろいもそろってものすごく綺麗な顔をしていたからなのっ!
説明せねばなるまい。
個人的にあたしは綺麗な人が非常に好きだ。
老若男女、美形ならば思わず見ほれてしまう。
(間違わないで。あたしは唯美主義じゃあない)
それが、二人もいれば驚くのは当たり前……
さてと。
二人のうち一人は金髪のショートカット。
歳の頃なら十二、三。背は少し低くって百四十五センチぐらいである。顔立ち
は、というと『童顔』。特徴といえば、右手にはめた金属グローブといったとこ。
ここからだと細かいところはよく見えないが、目が大きい。
もう一人は黒髪のストレートロングヘアー。
歳は十四、五だろう。背はあたしと同じぐらいだ。(具体的に言うと百六十
センチぐらい)
腰ぐらいまである髪の毛とその顔があいまって女の子に見えてもおかしくない。
もとい女の子そのもののよーな顔をしている。
それがなぜ男だと言い切れるかというと、そいつが上半身裸で水浴びしていた
からなのだ。(念のため言っとくけど、下半身にはズボンはいてるわよ)
美しいけれど、それは天使と形容するよりも、悪魔と形容するべきだ。
まさに芸術品ね、あいつ。綺麗な体しちゃって。(覗き親父か?)
と、
「うーん……ヤダなぁ」
次の瞬間あたしは唸ってしまった。
黒髪と一緒に水浴びしている奴がいたのだ。
黒い翼を持ち、身体の大きさは優に1.5mを越す召喚獣『鴉』(カラス)
それはとりもなおさずその二人が召喚獣レースに参加している、ということを
示していた。
まぁ、こんなとこにいるんだからとーぜんだけど。
「いい加減にあがったらどうです?」
金髪が喋っているようだ。
視線を戻すと木の上にいた金髪が水際に来ている。
「鴉はもう少し水浴びをしたいってさ」
黒髪が答える。
「あんまり時間をかけないほうがいいですよ。
予定、詰まっているんですし……」
金髪がポケットに手を突っ込む。
二人がこっちを見ていないことを幸いにあたしは伸び上がり、絶句した。
湖の水が、ほんのりと紅に染まっている。
よく見れば鴉の黒い翼も水ではない色に光っている。
あの色は、血!?
細切れ死体……まさか!?
金髪がポケットから取り出したモノを見てあたしは確信してしまった。
それは一枚の金属板だった。
板は太陽の光を反射してキョーアクな光を放つ。
その光こそ、まごうことなき刃物の色。
つまり、あの二人が死体を切り刻んだのだ。
あんなのがいたら、こちとらひたすらメーワク。
何とかしないとまたあんなモノを見るハメになるかもしれない。
じょーだんじゃない。
思い出すたびに食欲がなくなるようなモノ、もう二度と見たくない。
ふん捕まえてレース実行委員に突き出しちゃるっ!
まあ、あの顔は惜しいが、これもあたしの明るい将来のため!
四聖獣『青竜』召喚だっ!
凍てつく氷の冷たさよ
水と氷の蒼き竜
我が力を持ちて
その力をここに見せよ
汝の力のさらなるを
我今ここに引き出さんとする
四つの聖なる獣たちよ
我に力を与えよ
太古の四つの縁に従い
蒼き竜を呼び出さん
呪文の詠唱が、終わった!
「青竜、降臨!!!!!」
あたしの大声に二人が振り向くがもう遅い!
「ぎゃおおおぉぉぉぉん!」
精霊界から四聖獣『青竜』がその姿を現した。
蒼く光る鱗、同色のたてがみ、鋭い眼光と牙はまさに竜族のモノ。
青竜を召喚すると、あたしは隠れていた茂みから飛び出す。
「何なんです?」
金髪が腕を組んで斜めにこちらを見る。
そのポーズはだいぶ様になっているが、んなこと考えている場合ではない。
「この場合は戦闘じゃないのか?」
落ち着き払って黒髪が呟く。
その言葉に反応するかのように、『鴉』が身震いし水を跳ね飛ばす。
「よぉくもあんた達、あんなことしてくれたわね!」
あたしは口上を切った。
「このレースは操者を殺しちゃいけないのよっ! それなのに、あーゆーコ
トをするなんてっ! レーサーの風上にも風下にも置けないわっ!
ともかくっ、あたしが実行委員会に突き出してやるから覚悟しなさいっ!」
びしっ、と指さしたあたしに二人は顔を見合わせる。
そして全く同時に
『は?』
というマヌケな声を漏らした。
むかむかむかっ
「ぬあぁぁにが『は?』よっ! その湖の水とあんたの刃物が動かぬ証拠!
言い逃れも申し開きも聞かないかんねっ! 行けっ! 青竜!」
あたしの命令で青竜が凍てつく吐息(フリーズ・ブレス)を吐き出す。
その吐息は瞬く間に湖の水を凍らせる。
水に浸かっていた黒髪は水が凍る前に跳び、上着を羽織った。
やれやれ、といった表情で首を振り右手を上げる。
「行けっ! 鴉!」
黒い鳥『鴉』が翼を広げ、飛び立つ。
─────青竜相手に鴉じゃ分が悪いわね─────
あたしは内心でそう思った。
鴉は一角獣と同位ぐらいの実力を持っている。
四聖獣は操者の魔力にもよるが一角獣などの三倍ほど力がある。
もちろんそれに比例して呼び出すのも大変だが、召喚獣の中では高位なのだ。
黒髪の魔力がどれほどかは知らないが、あたしの魔力容量(キャパシティ)は
非常に多い。
じまぁぁん!
これならば、楽勝─────
しかし、目の前の信じられない光景が、その考えをあっさり消滅させてしまった。
青竜がフルパワーで放つ凍てつく吐息を鴉が弾き返しているのだ。
ンなアホなっ!
よぉぉっし、こうなったら─────
「青竜、構わないから奥義、いっちゃいなさい!」
ばっ、とあたしは両手を空にかざす。
あたしの魔力と青竜の魔力が共鳴し、奥義『青竜輝氷乱舞』(ダイヤモンドダ
スト)を作り出す。
青竜の体の回りに、輝く氷の粒子が集まり、徐々に魔力を帯びてゆく。
「青竜輝氷乱舞!」
あたしの声に従って魔力で青竜の周りの氷が『気』を発生させる。
その氷の気が輝き、渦巻き、周りの物に襲いかかる様は『ブリザード』。
輝く氷があまりに美しいことから『輝氷乱舞』の名が付いたという。
それに触れた全ての物が魔の氷の中に閉じこめられる。
念のため言っとくけど、操者は安全。
本来ならばこの技、一発で相手を殺せるのだがアレンジしてあるため死なない
はず。
「鴉、行けっ!」
突然聞こえた声にあたしが視線を向けると、そこには鴉とあの二人がいた。
青竜輝氷河乱舞を受けて、全くダメージを受けていない!?
そんなバカな!
よく見ると奴らの周りには薄い防御結界が張られている。
それが奥義を跳ね返しているのか!?
にしても奥義を跳ね返すほどの結界を作れるなんて、なんなんだ、あいつら。
と、黒い翼を広げて鴉が飛んだ。
「がんばれっ、青竜!」
あたしの応援に吹雪が強くなる。
しかし、である。
鴉は猛吹雪の中、飛んでいた。
さながら、黒い一本の矢のように。
次の瞬間『矢』は青竜の頭部を貫いた!
青竜は一瞬、霞み、精霊界に戻る。
「うそぉぉぉぉぉぉっ!」
思わず絶叫してしまう。
たかが鴉が四聖獣を、それも一撃で倒すなんて………
もしやあいつ、鴉ではないのか?
それとも魔力容量の問題か?
ばさばさっ、と羽音をたてて鴉があたしの目の前に降り立つ。
ひえーーーーっ!
マヅいぞ、あんなコトするやつらだから捕まったりしたら………
「一体、どういうコトなんです?」
金髪が口を開く。
「はん、あんなコトしといてよくもしゃーしゃーと言えるわね」
負けじと言い返す。
言っとくけど、舌先三寸で負けやしないからねっ!
「そうそう、それなんですよ」
「なにが『それなんですよ』よっ!」
「あなたがさっきから連発している『あんなコト』って何なんです?」
「決まってるじゃない、バラバラ死体のことよっ!」
「バラバラ死体? 何のことです?」
……………………
あたしは呆れてしまった。
あぁんなに証拠が揃ってるのにまだそんなこと言えるなんて。
根性あるわねー。
無神経の代表みたいにいわれるナマケモノだってね、あんたほどずーずーしか
ないわよ。
「バラバラ死体ってのは八つに切られた男の死体よっ! そこの湖の紅い水と
あんたの持ってた刃物が証拠よっ!」
はーっはーっはーっ。
ぜいぜいぜい。
「そんなもの、知りませんね。ぼくの持っていた刃物はともかくとして、湖の
水は正真正銘、彼の血ですよ」
言って金髪は黒髪を指さす。
???
あいつの血なの?
「詳しくお話ししましょうか?」
金髪の提案にあたしはいちお、頷いた。
*第二章へ*